悪性度の高い白血病のがん遺伝子発現制御機構を発見
研究成果のポイント
●悪性度の高い白血病の原因遺伝子であるMLL-AF4がRNAの段階で機能発現がコントロールさ れ、最終的にタンパク質の産生を妨げることを発見しました。
●RNA結合タンパク質による制御を受けない改変をすることで、骨髄性白血病を引き起こし、MLL-AF4による動物モデルを構築しました。
●本研究の成果により悪性度が高い白血病の治療法を開発する可能性が示されました。
概要
公益財団法人庄内地域産業振興センター(理事長:皆川治、鶴岡市末広町)/国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点がんメタボロミクス研究室の研究グループ(横山明彦チームリーダー、奥田博史研究員(現横浜市立大学大学院医学研究科 免疫学))は、悪性度が高い白血病を引き起こすMLL-AF4という遺伝子からRNAが作られ、最終的にタンパク質が作られる過程を抑制するメカニズムを発見しました。この制御メカニズムがあるため、これまでにマウスなどでMLL-AF4によって白血病を引き起こす動物モデルを構築することが難しいと言われていましたが、MLL-AF4に細工を施し、抑制メカニズムに対応することで、骨髄性白血病を引き起こす動物モデルをマウスで構築することができました。このような動物モデルは今後創薬研究を行う上で非常に重要なツールとなります。
本研究は、横浜市立大学(学長:相原道子、神奈川県横浜市金沢区)と国立がん研究センター(理事長:中釜斉、東京都中央区)、東京大学との共同研究であり、2022年11月5日に国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。
「RNA-Binding Proteins of KHDRBS and IGF2BP families control the Oncogenic Activity of MLL-AF4」
https://www.nature.com/articles/s41467-022-34558-1(外部サイトにリンクします)